フリーソフト 電波時計用JJYシミュレータ のページです
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2014年3月 PC不要のハードウエア版JJYシミュレータ 販売開始しました。
2011年7月24日 v1.05 送信時刻を現在の西暦とは違う年に設定すると、送信データの日付が正しく計算されず電波時計の校正に失敗する問題を修正しました。
目次
電波時計用JJYシミュレータは、日本国内用の電波時計の時刻を任意の日時に調整するためのソフトです。
標準電波が届かない場所、たとえば奥まった部屋の中でも電波時計の時刻調整ができるようになります。 また、電波時計を調整する時刻を任意の時刻に設定できるので、海外に日本国内用の電波時計を持っていっても、このソフトを使えば現地の時刻に調整することができます。 ※本物のJJYの電波送信所から近い場所(福島県、佐賀県および近隣の県)など強い電波が届いている環境では、その電波に負けてしまいますので、動作しないか到達距離が著しく短くなる可能性があります。 ※このページを作成するに当たり実験に使用した機器は、PCはEpson Endeavor AT971 (Windows 7)、アンプつきスピーカーはサンワサプライ製 MM-SPL2、実験場所は三重県津市の住宅屋内です。 この条件で、約3m離れた場所の電波時計の時刻を設定することができました。
Windows 2000, XP, Vista, 7 が動作するパソコンと、ヘッドフォン端子がついているパソコン用のスピーカー、それと簡単なアンテナの自作です。 ノートパソコンのヘッドフォン端子に直接アンテナをつなぐことでも利用可能ですが、電波が到達する距離は短くなります。 遠くまで電波を飛ばすためには、音が大きいのにボリュームを上げると音がすぐに割れるような安物の外付けスピーカーが適しています。
独立行政法人 情報通信研究機構 の 日本標準時プロジェクト が運営する電波塔から、正確な日時、曜日、日付を符号化した電波(標準電波JJY)が送信されていて、電波時計はその電波を定期的に受信して時刻合わせを行っています。 日本国内では福島県と佐賀県の二箇所に電波塔があり、それぞれから長波の40KHzと60KHzの電波が送信されています。 電波時計用JJYシミュレータは、40KHzの電波を擬似的に送信するようになっています。
パソコンのオーディオデバイスは20KHzまでしか再生できないのに、どうして40KHzの電波が出せるの? 人間の可聴帯域は高音部は20KHzくらいまでで、普通のスピーカーやアンプはこれ以上の周波数の再生には適していません。 電波時計用JJYシミュレータは、特殊な送信機などのハードウエアを要することなく40KHzの電波を出すために、歪んだ波形に含まれる3次高長波成分を利用しています。 下の写真は、電波時計用JJYシミュレータを送信状態にし、パソコン用スピーカーの ヘッドフォン端子に接続したアンテナの根元にオシロスコープのプローブを接続して観測した電圧波形です。 (横軸は10マイクロ秒/コマ、縦軸は電圧です)
スピーカーのボリュームが中くらいのときにはきれいな正弦波になっていますが、ボリューム最大のときには正弦波の頭が欠けて変形しまっているのがわかります。 この頭が欠けてしまう現象は、アンプに入力される音が大きすぎて、かつボリュームの調整が大きすぎる場合に、アンプが飽和してしまってこれ以上の電圧を出力できずに頭打ち になっている状態、つまり音が割れてしまっている状態です。 この波形は正弦波と矩形波の中間のような状態であると言え、もともとの周波数(13.333KHz)の正弦波に、その周波数の3倍、5倍、7倍...という奇数倍の正弦波を重ねあわせた形状になっています。 (正弦波と矩形波の波形は下図をご参照ください)
実際の波形にどの周波数成分がどの程度の大きさで含まれているかを調べるには、フーリエ級数展開という手法がありますが、簡単に図解しますと下図がわかりやすいと思います。
”もとの周波数”が13.333KHzの正弦波と考え、この波形に”3次高調波”、”5次高調波”、”7次高長波”のそれぞれの波形を加算してみると、結果は”合計”という頭が欠けた波形になります。 つまり、”合計”の波形は、”もとの周波数”に、周波数が3倍、5倍、7倍の周波数の正弦波が混じっているということです。 電波時計用JJYシミュレータはこの原理を使い、13.333KHzの音を再生することにより、その3倍の39.999KHzの電波を出しています。 この説明でお分かりいただけたと思いますが、波形の頭が潰れれば潰れるほど(波形が矩形波に近くなるほど)、3次高調波成分、つまり39.999KHzの成分は強くなりますので、音が割れやすい条件、すなわちアンプへの入力が大きく、ボリューム最大で、音がすぐ割れるアンプが適しているということになります。
@Windowsのパソコンに電波時計用JJYシミュレータをインストール、起動し、”送信する時刻”を下部の+/-ボタンで調整します。 Aアンテナを作成し、パソコン用スピーカーのヘッドフォン端子に接続します。 (普通のヘッドフォンをヘッドフォン端子に接続した状態でも条件が良ければ時計の時刻調整ができますが、電波は数cmくらいしか届きませんので、時計にヘッドフォンを絡ませるようにセットしてください) BWindowsのボリュームコントロールで、再生音量を最大にし、またパソコン用スピーカーのボリュームも最大にします。 (出来るだけ大きくすることにより音がよく割れます。) C電波時計用JJYシミュレータの送信Onボタンを押し、正分(x分00秒)になるのを待ちます。この間は”送信中”の文字が点滅しています。 D正分から電波の送信が開始され、”送信中”の表示は点灯状態になります。 お使いの電波時計を操作し、強制受信状態にして2〜3分待ちます。 電波がうまく発射されていると、時計の時刻が変わります。 (電波時計は通常一日に数回だけ電波を受信して時刻調整するようになっていますので、この実験をするときは電波時計の強制受信ボタンを押してすぐに受信動作を行うようにしてください)
市販されているFMトランスミッタ程度の微弱無線局は免許を受ける必要がありませんので大丈夫です。 詳しくは下記ページをご参照ください。 私共の実験では3m程度の到達距離が確認できましたが、出力の大きいアンプや効率が良いアンテナを使いますと、さらに遠くまで電波が届いてしまう可能性があります。 ご近所の家の電波時計が狂ってしまったりすると大変なことになりますので、到達距離が長くなりすぎないよう、十分ご注意ください。
※ここで紹介するアンテナは、何の計算もせず適当に作ったアンテナですのでいろいろ試してみることをお薦めします。
必要なもの: ビニール線 5m〜10mくらい (適当な電線でいいです) 3.5mmステレオミニプラグ(いらないヘッドフォンやオーディオケーブルを切ってつかいます) ビニールテープとニッパやはさみ、ナイフなど電線の皮むきができるもの 作り方: @ビニール線を適当な直径で数回巻き、ばらけないようにテープで固定します。 Aビニール線の両端の皮をむいておきます。 B3.5mmステレオプラグがついたケーブルの皮もむいておきます。 ケーブルの中には網状の裸の線と、ビニールの被覆を被った二本の線が入っていますので、それぞれを分けて皮をむいてください。
C3.5mmステレオプラグの網線側をリング状のビニール線の片方に、ステレオプラグの残り二本の線をリング状ビニール線のもう片方にからげます。 からげた場所が外れないように、ビニールテープを巻いておいてください。
出来上がったアンテナを、パソコン用スピーカのヘッドフォン端子に挿し込めば完成です。 このアンテナには指向性があり、アンテナの輪の正面側が電波が一番弱く、輪の側面が一番強くなりますので、電波時計に対して輪の側面側がくるようにセットしてください。
2011/3/30 追記 アンテナを作る部材が手元にない場合やアンプつきスピーカーがない場合でも、ノートパソコンのヘッドフォン端子にヘッドフォンを挿し込み、電波時計に巻きつけるようにしてボリュームを最大にすると時刻合わせに成功する場合がありますので、簡単にお試しになりたい場合はやってみてください。 こちらではAcerのネットブック+100円ショップのヘッドフォンで電波腕時計が動作することを確認しております。 (但しこの方法では離れた場所にある電波時計の補正は不可能です。)
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